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親子で楽しむ、リーズナブルなモータースポーツ、ケイズガレージのキッズカート

体験走行やスクールで気軽にレーシングカートを始められます

   8.オイル添加剤等とエンジンオイルについて

-CONTENTS-

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1.目的と原則について

2.2ストローク小排気量エンジンの仕組み

3.レギュレーションに則ったEC04のエイジング加工による性能向上について

4.EC04エンジンのリードバルブと混合気の吹き返しよる限界について

5.EC04のキャブレター・セッティングについて

6.EC04系エンジンのCDIと点火の調整について

7.EC04系エンジンのこれまでの形式と部品、構造の違い

8.オイル添加剤等とエンジンオイルについて

 オイル添加剤については、弊店では、メタルトリートメント系のEPL社製のPL220Sスプレーを使用しています。これは、有名なマイクロロンやSUPER ZOILと同じ効果のある国産の後発商品で、自転車や小排気量のバイクのエンジン内部、外部のベアリングやチェーンに大きな効果が認められて、普及した商品で、価格も安いです。これを、エンジンの分解、オーバーホールの際に、クランクシャフトベアリング、クランクシャフト、コンロッドの上下のベアリング、エンジンオイルを塗布しシリンダー内面とピストンに大量に塗布しますと、前述のエイジング加工と合わせて、劇的なフリクションロスの低減が確認できます。エンジンを組んで、フライホイールを手で回してみると実感できます。また、エンジンを組んで使用した後も、リードバルブ部を取り外すと、クランクシャフトベアリングが露出しますので、そこと、ピストンの裏側、シリンダー内面、コンロッド大腿部のベアリングに毎回たっぷりと吹き付けます。数回、これを行うと、金属表面が改質され、安定してきますので、あとは数回の走行に一度の吹き付けで大丈夫です。PL220Sスプレーはチェーンルブスプレーと合わせて、リアシャフトベアリング、クラッチベアリング、チェーン、スプロケットに塗布しても大きなフリクションロス低減効果があります。

 その他では、マイクロロンのメタルトリートメントスプレーやSUPER ZOIL スプレーなども同様の効果があるそうですが、自動車などの排気量の大きいエンジン向けなのと高価なこともあって弊店では実験はしていません。

 また、ガソリンに混合するタイプの添加剤は、カーボン除去などの清浄効果中心の機能であるめ、ほとんど効果がないようです。ガソリンに混合するカート用の2ストロークレーシングオイルで、十分な潤滑効果があります。ただし、爆発力を高めるような特殊なガソリンを使用することはできません。

 これらのメタルトリートメント系オイル添加剤スプレーは、無色透明で、特に異臭もないために、車検の際、塗布を判別することができませんし、エンジンオイルが指定がないのであれば使用することに問題はないはずです。実際に、リアシャフトベアリング、クラッチベアリング、チェーン、スプロケットに塗布することは一般に行われていて車検で問題になることもありませんでした。


 エンジンオイルについては、一般にシェル・アドバンスMを10:1程度の混合比で使用することが、最も良いとされていますが、このシェル・アドバンスMは半植物性オイルでその他のカート用の100%化学合成オイルに比べて不純物が多く、特に指定の20:1よりも濃くして使うとエンジン内部、特に排気ポートへのカーボンの蓄積がひどく、頻繁にシリンダーを開けてカーボン除去をしてやる必要があります。
 また、シェル・アドバンスMがよく回る原因として、半植物性オイルだからということではなく、オイル粘度が低いことによりフリクションロスが低くなることによる可能性が指摘されていました。

 シェルアドバンスMがキッズカートの定番オイルとして使用されるようになったのは、もともとは、弊店店主が琵琶湖スポーツランドで息子とキッズカートをやっていた2000年頃にさかのほり、手で触った粘度が低いので、良いのではないか、ということから始まって広まっていきました。それまでは、メーカー推奨のものも含めて、100%化学合成の様々なオイルが40:1から20:1くらいで使われていました。そして2010年くらいから、関東圏で、10:1から5:1での配合が良いとされて現在にいたっています。しかし、この異常な混合比から考えると、どうも粘度とフリクションロスの問題ではなさそうです。

 最近、弊店でオーバーホールして、13000rpm回っていたあるエンジンで、全国大会でもらったモチュールBIOを使用し続けたところ、他は何も変えていないのに、だんだん回らなくなってきて、11000rpmになってしまいました。その後、全植物性で弊店取り扱いのROCK OIL Castor Kart 100を10:1で使用し始めると、だんだん最高回転が上がってきて、13000rpm回るようになりました。また、同時にキルスイッチをオフにしてもエンジンが止まらなくなる、という現象が発生してきました。そこで、気が付いてたのですが、シェルアドバンスMなどの半植物性オイルや全植物性が良く回るのは、実は燃焼室内に過剰に付着したカーボンが着火元となって異常燃焼、いわゆるデトネーションが、本来のプラグによる着火の前に起こり、結果、点火時期を進めたのと同じ現象がおこっている可能性が高いことが考えられるようになっています。モチュールBIOは、カーボン等の清浄作用が強いことを売りにしているオイルなので、このこともデトネーションの理由とあてはまります。同様にモチュールの他の全化学合成オイルを使用した場合でも、同様の症状が起こり、オーバーホールしてシリンダーを開けてみると、燃焼室とピストンヘッドのカーボンに剥離のあとが確認できました。モチュールの全製品は、カーボン除去性能をうたっていますので、だふん、デトネーションの問題に間違いなさそうです。そうなると、ガソリンも、オクタン値が高く、デトネーションが起きにくく、カーボン洗浄成分を含んでいるハイオクよりも、レギュラーガソリンのほうが良い、キッズカートにはよい、ということになります。

EC04の点火時期は、進角0度なので、そこでレギュレーションには違反しますが、オーバーホール済で13000rpm以上回っていた弊店のスペアエンジンで、フライホイールのキーを抜き、点火時期の進角をKT100エンジンのものと同程度にして、100%化学合成のROCK OIL Synthesis Maxを20:1でテストしたところ、メインジェット65番で13000rpm以上回りました。やはり、植物性オイルの使用による回転の上昇は、デトネーションによる、点火時期の進角化現象のものであると思われます。

ということになると、デトネーションは、本来、以上な圧力波が生じてエンジンを壊す原因になるものとして、一般のエンジンには、それを起こさないよう工夫がされています。つまり、できればデトネーションは起こしたくない訳です。また、あくまで異常燃焼ですので、完全な再現性がありません。エンジンの状態や気温、混合比、植物性オイルの種類などによって変化するようです。現在、市販されている植物性オイルとしては、半植物性のシェルアドバンスMとワコーズの2CR、全植物性のROCK OIL Castor Kart 100くらいです。これらを比較テストしてみても、通常の点火時期では、やはり、エンジンの状態や、気温などよって結果はバラバラでした。

 結論としては、デリバリーエンジン制のレースにしか出ない、ということであれば、マイエンジンのフライホールのキーを外して、角度としては10度程度、点火時期を進角させてやるか、また、デリバリーエンジンよりもある程度よく回ってくれればいい、ということであれば、100%化学合成を指定の混合比で使用する、ということのでもいいでしょう。。そうすれば、特定のショップが20時間ごとに、カーボン除去のために、オーバーホールと称して行っている作業や、慣れない方がシリンダーを開ける頻度も少なくてすみ、エンジンにも優しい運用ができると思います。また、自分でシリンダーを開けてピストンリング交換程度は、割と簡単にできますので、その際、カーボンは、排気ポートについているものを除去するだけにしておくといいと思います。

 また、マイエンジン使用のレースでも、オーガナイザーが点火時期を変更を認めれば、このデトネーションに起因する問題はなくなると思います。ただしそうなると、今度は、点火時期の調整のむずかしさが出てきますが、カデットに上がってKT100になると、点火時期の調整機能がついているので、先に勉強しておく、ということでもいいのかもしれません。

 


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